解体工事は建物を壊すだけでなく、専門知識と法令遵守が求められる作業です。
そのため、解体工事を任せる業者が、本当に必要な資格や許可を持っているのかどうかは、工事の安全性や法的なトラブルを避けるための、重要なチェックポイントとなります。
この記事では、解体工事になぜ専門資格が必須なのか、どのような資格が必要なのかを解説し、資格を持つ優良な業者を見抜く方法をまとめています。

解体工事は、建物の構造を理解し、近隣への影響を最小限に抑えることが重要ですが、作業員の安全を確保するための知識も必要です。
愛知県内でも、古くから工業地帯として栄えた三河地域では、建物の種類や地中の状況が複雑なケースが多くあります。
そのため、知識や経験のない業者が工事を行うと、予期せぬ地中埋設物の発見や、近隣トラブルに発展するリスクが高まります。
よって、資格を持っている業者は、一定以上の知識・技術・安全意識を持っている証明となり、現場で差がつく理由となります。
解体工事を行うには、建設業法に基づき、国土交通大臣または都道府県知事の許可が必要なため、解体工事業登録が必須となります。
工事請負金額が500万円未満の解体工事のみを行う場合には、解体工事業登録だけで良いですが、500万円以上となる場合は、建設業許可も必須となります。
つまり、建設業許可を持っていない業者が、愛知県知立市や刈谷市などで請負金額が500万円以上の解体工事を行うことは違法行為にあたるというわけです。
もし、許可のない業者に依頼した場合、工事の途中で行政指導が入り、工事が中断するなどのトラブルに巻き込まれる可能性があります。
解体工事には、建物を高所から崩したり、大型の重機を使用したりするなど、常に危険を伴う作業が多く含まれます。
そのため、現場でこれらの作業を安全に管理し、作業員を指導するための専門的な技能と資格が必要とされます。
特に、現場全体を統括する主任技術者や監理技術者には、解体工事に関する専門資格や実務経験、具体的には、作業計画の作成・作業手順の確認・安全設備の設置指示など、事故を未然に防ぐマネジメントが求められます。
愛知県三河地域の都市部での解体では、近隣への粉塵・騒音対策として、防音パネルや散水計画を管理する必要がありますが、専門の資格を持った管理者がいるからこそ、実施されるものとなります。

ここからは、解体工事で役立つ資格を7つご紹介しますが、各資格の概要をまとめました。
| 資格名 | 資格の目的・役割 |
|---|---|
| 解体工事施工技士 | 解体工事の計画、施工管理、安全管理を行う資格 |
| 車両系建設機械(解体用)運転技能講習 | 解体用重機の安全な運転に必要な資格 |
| 石綿取扱作業従事者特別教育 | アスベスト含有建材の調査・除去作業を行うための資格 |
| 足場の組立て等作業主任者 | 足場作業における安全管理、作業計画の策定を行う資格 |
| 玉掛け技能講習 | クレーンなどで荷物を吊り上げ、移動させる際の安全管理資格 |
| 小型移動式クレーン運転技能講習 | 小型クレーンを操作し、資材の揚重を行うための資格 |
| ガス溶接技能講習 | 鉄骨の切断など、溶接・溶断作業を安全に行うための資格 |
解体工事施工技士は、解体工事の技術者として、最も重要な国家資格の一つです。
この資格を持っていると、工事全体の計画立案・工程管理・品質管理・安全管理を一手に担うことができます。
特に1級の資格保有者は、建設業許可における専任の技術者や監理技術者として認められるため、業者の信頼度を測る上で重要な指標となります。
参考までに、解体工事施工技士には1級と2級がありますが、管理できる工事の規模に上限があるかないか、特定建設業の監理技術者になれるかなれないか、という違いがあります。
油圧ショベルなどの車両系建設機械を運転するために必要な資格です。
無資格者が重機を操作すると、操作ミスによる重大な事故や、隣接する構造物への損壊事故につながる危険があります。
愛知県三河地域などの住宅密集地での解体では、重機の繊細な操作が求められますが、この資格を持つ作業員がいることで、安全かつ迅速な解体が可能となります。
近年、解体工事において重要視されているのが、アスベスト対策です。
2022年4月から、解体工事の規模にかかわらず、アスベスト含有建材の事前調査が義務化され、アスベスト含有建材の除去・処理作業を安全に行うために必須の資格なのが、石綿取扱作業従事者特別教育です。
この資格を持つ作業員がいることで、最新の法令を完全に遵守し、アスベストの飛散を防ぐための適切な防護措置と処理手順を実施していることの証明になります。
愛知県三河地域でも、古い建物の多くにアスベストが使用されている可能性があるため、必ず有資格者が在籍しているかを確認しましょう。
※アスベストについての詳細は「解体工事とアスベストの関係は?知立市での注意点や対処法を解説」をご覧ください。
足場の組立や解体を行う現場では、足場の組立て等作業主任者の資格を持つ作業員を配置することが、労働安全衛生法により義務付けられています。
作業主任者の役割は、足場の作業方法の決定、作業員の指揮・指導、部材の点検など、足場の安全を専門的に管理することです。
足場が正しく設置されていないと、崩壊事故や高所からの転落事故の原因となります。
玉掛けとは、クレーンなどで吊り荷重が1t以上の荷物や資材を吊り上げる際、フックにロープやワイヤーを掛けたり外したりする作業のことです。
この作業は、荷物の重さやバランスを判断し、安全に吊り上げるための専門知識が必要であり、玉掛け技能講習の修了が義務付けられています。
この資格を持つ作業員は、重機の運転手と連携を取りながら、解体したコンクリート塊や鉄骨などを的確に吊り上げます。
もし適切な玉掛け作業が行われていないと、荷崩れや落下事故に直結し、作業員だけでなく近隣住民にも危険を及ぼすため重要な資格と言えます。
解体工事の現場では、大型の建材や廃棄物を吊り上げて移動させるために、小型移動式クレーンが頻繁に使用されます。
その際、吊り上げ荷重が5トン未満の移動式クレーンを操作する必要がある場合、小型移動式クレーン運転技能講習が必要となります。
この資格を持つことで、現場での資材の搬入や、解体で発生した廃棄物の搬出作業を、高い位置から安全かつスムーズに行うことが可能になります。
作業効率の向上だけでなく、クレーン使用時の転倒事故や落下事故などの危険を未然に防ぐための、知識と技能を証明する役割になります。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物を解体する場合、構造体を切断するためにガス溶接・溶断の作業が必要となり、その作業を行うために必要なのが、ガス溶接技能講習です。
この資格は、ガスの取り扱いに関する知識、火災・爆発を防ぐための安全対策、適切な切断技術を持っていることを示すものとなります。
愛知県内の鉄骨造工場や商業施設などの解体では必須となる資格であり、資格保有者がいない業者に依頼すると、火災事故や作業員の負傷といった、重大な安全対策上の問題を引き起こす可能性があります。

自分が所有している建物を自分で解体する場合、資格は必要ありません。
もちろん、重機や工事車両を使用する場合は免許が必要ですが、先ほど挙げたような資格がなくても自分で解体できます。
一方、事業として請け負う場合は、資格が必要です。
特に玉掛け・小型移動式クレーン・車両系建設機械の技能講習・石綿取扱い作業従事者講習は必須となるでしょう。
解体業者が自社で全ての資格を保有しているとは限りません。
鉄骨の解体やアスベスト除去など、特殊な作業が必要な場合は、専門の協力会社や外注先と連携して作業を分担することが一般的です。
この連携体制自体は、専門性を高めるメリットがありますが、元請けである解体業者が全体の安全管理と責任を負うことを覚えてきましょう。
優良な業者は、協力会社が必要な資格と適切な実績を持っているかを厳しくチェックし、自社の主任技術者が現場全体を一元管理するように調整するでしょう。
協力会社との覚書や安全協定を事前に締結し、リスク分担を明確化しているかを確認するこでトラブルを防止できます。
小規模工事だからといって、安易に無資格で作業させた結果、事故が起きれば損害賠償や行政処分の対象となり、損害は計り知れません。
また、安さを優先して無許可業者へ丸投げした場合、アスベストの調査・処理を怠る、廃棄物を不法投棄する、近隣への安全対策を省略するなど、法令の遵守とかけ離れた対応をされることがほとんどです。
愛知県三河地域は、不法投棄に対する行政の監視も厳しく、万が一自体が明らかになった場合、元請けは発注者責任を問われ、工期遅延・再施工・信用失墜など、金銭的にも社会的にも負債を負うことになるでしょう。
そのため目先のコストを削減するのではなく、資格と許可を持った業者に解体工事を依頼しましょう。

解体現場の重機は、非常に過酷な条件下で使用されるため、不具合が生じると工事の遅延や重大な事故につながる可能性があります。
車両系建設機械の故障原因の多くは、油漏れやフィルター詰まりなど、日常点検不足によるものです。
そのため、資格を持ったオペレーターは、単なる操作技術だけでなく、日常的な機械のメンテナンスと点検に関する知識も求められます。
解体工事施工技士のような管理者資格を持つ技術者には、作業員一人ひとりに対し、資格で得た知識を分かりやすく伝え、安全な作業手順を徹底させる指導力とマネジメントスキルが求められます。
具体的には、毎日の作業開始前にTBM-KY活動を行い、工事における作業工程の再確認や工事現場の危険事項を洗い出すなどです。
ヒヤリハット事例を共有するミーティングを、週1回実施するだけでも事故率が低下すると言われており、毎日の情報共有や安全意識を高める活動は、必要不可欠です。
建設業界の法令や安全ガイドラインは常に更新されており、環境に関する規制は年々厳しくなっています。
資格を持つ技術者は、これらの最新ガイドラインを常に把握し、現場の作業手順や安全計画に反映させる必要があります。
また、行政への提出が必要な書類の正確な作成も、管理者の重要なスキルです。
これらの書類が不備なく作成されていることは、業者が法令を完全に理解し、実行している優良業者の証明となります。
この記事では、解体工事をする上で必要な資格や重要性、優良業者を見抜く方法について解説しました。
解体資格の有無は、工事の安全性・法令遵守・近隣トラブルの回避に直結するので、資格を持たない業者に依頼することは、不当な追加費用の発生や法的な責任を負う可能性があります。
そのため、適切な資格を持った業者に解体工事を依頼することを徹底しましょう。
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